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プロフィール

2016年、ジャフコ グループ株式会社に入社。ベンチャー投資部門に所属し、シード・アーリーステージのBtoBソフトウェア企業を中心に投資先の発掘から投資実行、投資後の支援業務を担当。2022年よりBring Outに出資。

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◆セールスイネーブルメント領域の市場の大きさと魅力

ーージャフコさんはブリングアウトに投資家として出資しています。ブリングアウトにどのような可能性を感じているのでしょうか。

まず市場自体が大きいということです。日本の営業職/販売職に支払われる人件費は約40兆円と推測され、これは日本の国民医療費45兆円に迫る規模です。

ブリングアウトはこの非常に大きな営業職市場においてど真ん中を捉えたサービスを展開しています。そして、実はこれはかなり稀なことなのです。

ーーどういうことでしょうか。

単純に市場規模が大きくても硬直的なマーケットだとベンチャーの参入余地がありません。ブリングアウトが現れる前は営業職市場のイノベーションはほぼ手つかずでした。厳密に言うと、これまで他の企業が手をつけていなかったのではなく、手をつけることが不可能な分野だったということになります。理由として営業という仕事の性質があります。

対面というアナログな現場で、扱うトピックも多岐にわたることから、デジタルな情報処理がしづらい環境で、商談は実施されてきました。そのため、商談内容の多くがブラックボックスとなっていました。改善はまず可視化されたものから示唆を出し、示唆に基づいて行われるものですので、そもそも可視化できないのであれば、手をつけようがありません。

ところが、近年になって現場で話されていたアナログでブラックボックスだった商談データ、すなわち非構造化データは生成AIが急速に進化したことで取り扱うことができるようになりました。ブリングアウトがど真ん中をとらえているというのはまさにこの点に取り組んでいるからです。

ーー髙橋さんのお話ではブリングアウトが挑戦している市場はまだ開拓されていない分野ということになります。その点でスケールの難しさはありますか。

もちろん一筋縄ではいかないと思います。一方で、海外の先行事例から考えると、日本でもスケールの大きな会社が産まれてくる領域だと思っています。 英語圏では、日本語圏よりも言語を扱う技術が先行していることや競争環境からブリングアウトのようなサービスが1つのカテゴリとして確立されています。ユニコーンどころか日本円換算で時価総額1兆円規模の会社が出てきています。 前述の通り、ブリングアウトのサービスが立ち上がる前提条件は、日本語の音声と文字が適切に処理できる技術が実用可能な水準であることです。LLMの登場によって同様のマーケットが立ち上がっていくことは不可逆な潮流と捉えています。

◆ブリングアウトは本当に「営業をできるようにする」

ーー今後ブリングアウトが大きく成長する上でどういったことが重要となるでしょうか。

営業というコミュニケーションを行う領域では避けられない、個別性への対応です。たとえば会計や法務のサービスの場合は、会社が違っても根本は共通ルールに基づいているので、比較的シンプルに共通の解決策を提供することができます。一方、営業の場合は、会社や商材もしくは個々人によって何が正解かの見解が分かれます。また、営業職は関わっている人も多種多様です。日本国内には約840万人の営業販売職に携わる人がいます。就労人口7〜8人に1人が営業販売職という計算です。 そういった事情を踏まえて、お客様の営業職/販売職の方を共通の成功法則で導いていく仕組みをブリングアウトは作っており、これはとても難易度が高いことです。

ーーその困難はどのように解決すればよいでしょうか。